2011-01-01から1年間の記事一覧
主人公のロニーはジレンマを抱えている。 ひとつは、同棲している彼女との結婚。彼女はすぐにでも結婚を望んでいるし、彼自身も結婚はしたいと考えているが、小さい企業を経営している彼は、大きな成功を掴んでから結婚を決めたいと思っている。「それでもい…
邦題がクリエイティブ。モテないおっさんが、自分にはもったいないと思う位のいい女性と深い絆で結ばれたまではよかったが、一方でその女性にとんでもなく自分に敵意をむき出してくるマザコンのガキがいたら……。この映画は、男としては途方もなくやっかいな…
「裸の〜を持つ男」と聞けば、つい先日亡くなったレスリー・ニールセン主演の「裸の銃を持つ男」シリーズを思い出す。副題からしてその亜種のようだが、由来は監督が同じデヴィッド・ザッカーだからだろう。タイトルにある「ベースケットボール」とは、野球…
監督は演出家の蜷川幸雄。蜷川幸雄が監督、さらには映画初主演の吉高由里子が大胆なヌードを披露したことでも公開当時は話題になった作品。 目的もなく渋谷の街をふらついていた19歳のルイ(吉高由里子)は、地下のクラブで赤髪でピアスしまくり、タトゥーも…
身体を縮ませたり、伸ばしたり、誇張したりするのは、元来からのアニメーションの楽しみだ。この「ベルヴィル・ランデブー」も、実に戯画的に描かれた人物達によって物語が進む。 セリフがほとんど登場せず、色遣いや演出も丁寧で柔らかでありながら、どこか…
レイモンド・チャンドラーの小説「大いなる眠り」をハワード・ホークスが映画化したハードボイルドの傑作。 1945年版と46年版があり、第2次世界大戦後に一年越しでわざわざ撮り直されているあたり、ホークスは46年版で完成としたようだ。 ニヒルな探偵の代名…
「アメリ」の監督ジャン=ピエール・ジュネがいたずら=「ミックマック」心を突き詰めた、ジュネ版「スパイ大作戦」といった作品。 脳に弾丸を撃ちこまれ、生死の境をさまよっている間に職も住居もなくなってしまったひょろっとした男(ダニー・ブーン)が、…
ジャレッド・ヘスが監督すると、邦題はこうなる運命らしい。かつて「Napoleon Dynamite」が「バス男」というクソ邦題を付けられて大不評を買った経験も虚しく、原題「Gentlemen Broncos」が今回はこのようになった。両方を配給した21世紀FOXは本当に反省して…
「もし自分が人生で違う選択をしていたら……」と考えることがある。いわゆるこの世界とは別の「並行世界」があるとすれば、そちらの自分は、この自分とは全く違う生活をしているのではないか。 東浩紀「クォンタム・ファミリーズ」と、そのなかで言及された村…
決して女性だけに向けた映画ではない。 吉高由里子演じる池下チエは、「人生は短い」との理由から、5人の男性と同時に付き合う奔放な女性だ。その男性のタイプも、年下の大学生、既婚の美容師、不動産屋のボンボン息子、パン工場で働くドン臭い男と様々。そ…
新海誠は、前作「秒速5センチメートル」でも、前々作「雲のむこう、約束の場所」でも、現代人がどこかに抱えている喪失感を描き続けてきた。その新海誠が本作「星を追う子ども」で掲げたのも、やはり喪失感であった。 しかし、この作品が前作までと一線を画…
ディズニー・クラシックス50作品目にしてプリンセスストーリーである「塔の上のラプンツェル」は、間違いなく傑作として語られるべき作品だった。 18年間もの間塔の中に閉じ込められている20mの金髪を持つ少女、ラプンツェルは、忍びこんできた盗賊、フリン…
映画の冒頭で、ラシ(ユダヤ教の聖典学者、シュローモー・イツハーキー)の、「身に降りかかること全てをありのままに受け入れよ」という言葉が表示される。 敬虔なユダヤ教徒であり、どこまでも真面目な男(シリアス・マン)の主人公に、突如として不幸が連…
この松たか子、怖いほどに恰好いい。 未成年が引き起こした殺人事件とその後を巡る告白。冷徹に努めることで狂気を押し込めたかのような松たか子の演技もさることながら、次々に語られる告白によって歪んだ人物像が吐露されていくのも、「こんな現場に絶対居…
90年アメリカ。 この時期に流行したキッズ・ムービー、「キンダーガートン・コップ」や「ホーム・アローン」の原点とも言える作品。子供が仕掛ける行き過ぎたいたずらにお手上げの大人を笑うストーリー仕立ては確かに「ホーム・アローン」で昇華した。 主演…
1961年に公開された「夜」。 「愛の不毛」とも評されるミケランジェロが、ある夫婦(マルチェロ・マストロヤンニ、ジャンヌ・モロー)の倦怠と欲求不満を描いている。映画は、夫婦の共通の親友(ベルンハルト・ヴィッキ)ががんによって死にかけている場面か…