隙さえあればギャグを入れ込む! このクドさはもはや伝統芸(褒めてます) デヴィッド・ザッカー「ベースケットボール 裸の球を持つ男」


 「裸の〜を持つ男」と聞けば、つい先日亡くなったレスリー・ニールセン主演の「裸の銃を持つ男」シリーズを思い出す。副題からしてその亜種のようだが、由来は監督が同じデヴィッド・ザッカーだからだろう。タイトルにある「ベースケットボール」とは、野球とバスケットボールを合わせたこの映画のオリジナル競技だが、副題は「球」以外何も関係なく、セガール映画の「沈黙の〜」くらい訳がわからない(でもわかりやすい)。

 主演はニールセンではなく、「サウスパーク」製作者として有名なトレイ・パーカーとマット・ストーン。ザッカー映画と言えば、隙さえあればとにかくギャグをねじ込もうとするアグレッシブさと、モラルという言葉は産まれてきた時に置いてきちゃったのかと思うほどのクレイジーさで攻めてくる大バカ加減がウリだが、これが主演2人の行きすぎテイストにピッタリマッチ。バカが陽気すぎるとこんな映画が撮れるということを実に感じさせてくれて感涙します。すっげー楽しそう。

 ストーリーは、ボンクラ青年2人が即興で作ったガレージスポーツ「ベースケットボール」(これが意外に競技として面白い)が現代スポーツのプロ制度に憂いていた億万長者のじいさんの目に留まり、2人は考案者でありながら新競技のプロとして超有名になってしまう……というもの。DVDパッケージの裏に「メジャープロスポーツを強烈に風刺する痛快作だ!」って書いてあったけど、そ、そうかなあ? 下品なギャグのオンパレードなんだけど、ちゃんと見た?

 映画はとにかくギャグが何よりも優先で、ストーリーに関係あるシリアスな話をしている後ろで人がポンポン飛んでるような、大変ジャンクな作りになっている。隙あらばギャグ。感動シーンもギャグ。これがミソ。

 悪役がせっかく甘い話で頭の弱いヤツを罠に嵌めようとするのに、こいつが真性の大バカ野郎なので話が全く噛み合わず、悪役が勝手にすんげーイライラする感じなど最高に笑います。

 そんなファニーでファニーでしょうがない大バカ映画なのだが、注意点としてはスラングもダジャレも有名人ネタも大盛りで盛り込まれているので、英語圏の言葉や文化を知らないとギャグが全く理解できない場面も多々あること。スラングやダジャレは字幕じゃダメだよね。

 こういったストーリーよりもギャグ優先の映画って、ザッカー監督以外はなかなか撮らない手法なのではないだろうか。あまりにギャグに寄り過ぎていて、ザッカー節という伝統芸の域まで到達していると思う。いや、この映画、オススメですよ。